★★★★ バトル・ロワイヤル


バトル・ロワイヤル法に基づき、中学生の1クラスを離島へ移して殺し合いをさせる。生き残れるのはただ一人。3日間が経過した後に複数の人間が生きていた場合、全員が死亡することになる。

衝撃的かつ現実離れをした舞台設定であり、実験的な映画である。よってその非倫理性を批判したり、またこの映画が現実社会の具体的な何かを告発するものであるという解釈は的外れになると思う。より恐ろしいのが、この映画から現実に対する考察(たとえば『生き延びる価値のある人間だけが生き延びられる』など)を導いてしまうこと。よってこの映画は十分な批判精神を備えていない未成年に見せることは危険である。

こうして現実から十分に隔離された舞台で深作欣也監督が描くのは、極限におかれた子供たちの個々の生き様と死に様である。四十余名の子供たちが殺し合い、一人一人が死んでいく姿を丁寧に描写する構成は脅威的だが、一つ一つは個人的、それゆえ具体的ではなく普遍的なシーンとなっている。

それゆえ、この映画は凡百の映画の名場面を集めたダイジェスト集のようなもので、物事の判る大人が見る分にはなんら危険でもないし、眉をひそめるほどのこともないと思う。(悪趣味だという批判は正当かもしれないが)

そうやって純粋に娯楽映画としてみると、実に面白い。全員とはいわないまでも十数名の登場人物が、みな準主役級の物語を演じて死んでいくというのは、役者にとっても視聴者にとっても実においしい映画なのだ。事実いくつもの名場面があり、それだけ強く印象に残る。

それにしても殺人という人間性否定の最大の題材を使い、一人一人を丁寧に描くというのはなんとも奇妙な手法である。この作品になにかもっと深い意味があるのかどうか、原作を読んでみたいと想う。