★★★☆ やわらかい生活


39歳、独身。恋人もなく躁鬱に苦しむ彼女と、それぞれ心に傷をもち、彼女といっとき関わりを持ちながら去っていった4人の男の物語。

全編が詩のように構成され、静かに物語は進んでいく。音楽もそれに合わせて、シンプルだが心に響く。気取らず、等身大に描かれた主人公楠優子(寺島しのぶ)の生活や気持ちは、同年代の多くの女性の支持を集めたらしい。

男たちは決して恋人ではなく、お互いを暖めあう仲間のよう。こういう水底に沈んだような生活で必要なのは、やはり同性ではなく異性の友達か。しかし決してある一線は越えられず、ハリネズミのジレンマを思い出させられる。

ただ一人、いとこの祥一(豊川悦司)だけが鬱で何もできなくなった彼女の手助けをするようになり、ついに一線を越えようとするが、物語の神様はそれを許さない。

それにしても、最後の終わり方がちょっとあんまりだと思った。これでは映画で描いている間だけがやわらかい生活で、その前後はちっともやわらかくない。ハッピーエンドは無理でも、せめて次へのつながりを持たせるエンディングでいてほしかった。