★★★★ ゆれる


東京で写真家として暮らす猛(オダギリジョー)は、母の一周忌に帰郷する。実家のガソリンスタンドでは、兄の稔(香川照之)とともに幼なじみの川端智恵子(真木よう子)が働いていた。翌日、猛は稔、恵子とともに近くの渓谷に遊びに行くが、稔とともに吊橋を渡っていた智恵子が、転落して死んでしまう。故意か事故か、裁判で真相が争われることになるが、稔も、猛も心の中に闇を抱えていた。

オダギリジョー、香川照之の名演が光る。本作はストーリーでなくふたりの兄弟の関係性に焦点を当てた作品であり、この絶妙なキャスティングがなければ成立しなかったかもしれない。

真相は最後になって明らかにされる。観客はそこで猛とともに心を閉ざしたくなるが、その想いはラストシーンで溢れ出す。最後の数秒のワンショットは映画のシーンとしては古典的ではあるが、この映画にとって必要なあらゆる救いがこめられており、印象深い。

それにしてもオダギリジョーの魅力は底知れない。これほどの俳優であるからこそ、それを生かすため監督や競演者の力量が問われてしまうが、本作は実に高いレベルでそれが結実している。邦画の愉しみを十分に感じさせてくれる作品である。