作物が枯れ、家畜が倒れ、人心が乱れていく王国。王子アレンは父である王を襲い、宝剣を奪って出奔した。凶事の原因を探る旅を続けていた大賢人ハイタカは、野犬に襲われていたアレンを救い、共に旅を始める。アレンは町で人狩りに追われていた少女テルーを助ける。ハイタカはアレンを連れて昔馴染みのテナーの家を訪ねるが、そこにはかつて親に捨てられたテルーが共に住んでいた。
大々的な宣伝の下、ジブリの新しい時代を担うべく期待されて公開された本作だが、散々な酷評を受けた。原作者も『これは私の作品ではありません』と言ったという。それほど酷い作品なのかと思って見たが、見所がないわけではない。
絵と音楽はさすがにジブリで、レベルが高い。しかし何かひとつ魂がこもっていないというか、駿作品にあった一瞬で鳥肌を立たせる力が、まだ欠けていたように思う。ストーリーはなかり原作から離れているようだが、これが拙い。なぜそうなるのか、何を表しているのかが判らないことが多く、だから何?といわれてしまっても仕方がないだろう。原作に忠実であればそちらを当たれば理解できるが、中途半端な創作では底の浅さとしか見えない。テーマを掘り下げず表現だけを追及するなら、陳腐なハリウッド映画と変るところがない。
この映画最大の収穫はテルーの唄。この唄ひとつで映画の世界が間違いなく広がっている。一本のアニメ映画を一曲のテーマソングが救うというのも大げさな話だが、実際にそんな形になっていると思う。
