★★★★★時をかける少女


紺野真琴。17歳。同級生の津田功介、間宮千昭と放課後にキャッチボールをして過ごすような元気な女の子。ある日ひょんなことでタイムリープの能力を手に入れた彼女は、美味しいものを何度も食べたり、試験でいい点をとったりと絶好調。人の恋にもおせっかいをするけれど、自分の恋からはつい逃げ続けてしまって...。

...見終わって、あまりの感動に何を書けばいいか判らない。ヒロインの一生懸命な顔が目に焼きついて、すぐには冷静に感想がかけない。これほどすごいアニメができたのなら、もう当分は他にアニメなんか作らなくてもいいんじゃないかと思ってしまうくらい。

ラストの部分。もう二度と会えないと判っていて告白をしないことにした千昭と、もう会えないから最後に聞きたい真琴。すれ違いのまま終わりそうになったとき、最後に千秋が『未来で待っているから』。真琴は『うん、すぐ行く。走って行く。』初めて知った初恋の大切さと切なさ。それ以上届かなくても思い続けること、覚えていることの意味。作品にしっかり寄り添い、これから先の真琴の生きていく時間を祝福するかのようなテーマ曲。これ以上ど真ん中を行くの青春賛歌はちょっと見たことがない。

ちょっと分解すると、時間旅行というテーマが本質としてもっている物語性を十二分に生かし、17歳の女の子という無敵のキャラクターを登用したのが本作であり、しっかり作れば傑作は約束されている。そこにいのちというテーマをかけて、もちろん淡い恋愛もからめて、選び抜いた最高の声優とスタッフ陣を集めてできたのが本作で、失礼ながらジブリの練習作とは比べるべくもない。しかし興行収入は1/30ということで、まったく世の中は理不尽なものである。

本作は学校生活のディティールを実に細かく描写しており、絵を見ているだけで自分の卒業アルバムを見るような感慨を与えられる。キャラクターも一般にもう受け入れられる絵作りで、主人公の表情描写がみずみずしい。声優はフレッシュな新人で、プロのような完璧さはないかわりに他作品のキャラが思い浮かんだりするようなこともなく、十分に個性的かつ魅力的だ。製作陣のプロフェッショナルな仕事が結実した正真正銘の名作と思う。