事故で視力を失ったミチルは、線路沿いの家に一人で住んでいる。外出はほとんどせず、ときどき親友のカズエと買い物に行く程度。ある日目の前の駅で殺人事件があり、その日から家の中に何者かの気配を感じるようになる。
原作は乙一の傑作小説。ストーリーも映画向きだし見せ場も多く、料理しだいでは号泣も期待できる素材。原作ではミステリー作家の慎ましさで押さえ気味に作っていたが、映画ではぜひもっとウェットなバージョンが見たい。主演はフレッシュなCM演技で記憶に残る田中麗奈となれば、期待が膨らむ。
が...。なんとも残念な仕上がりであった。まずアキヒロの内向きな心の闇を描ききれないと判断したのか、中国系のハーフという設定を加えてごまかしている。おかげで日本語をまともにしゃべれない台湾のイケメン俳優が登場し、ほとんどの日本人男性観客は白けることになる。2人の演技もかなり低いレベルにとどまり、大切なシーンが流れてしまう。『お母さん!』の場面は泣かせてくれなければ、『ありがとう』の場面はもっとタメを作らなきゃ、なんでカズエに電話をする気になったのか判らせてくれなけりゃ、家を出る場面はもっとグッとさせてくれなくちゃだめでしょう。原作であればさらっとした描写でも脳内補間が有効に働くが、映画ではちゃんとしっかり作らないと感動は得られないのですよ。出演者、製作陣両方の力不足が目立つ作品であった。

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