★★★★ かもめ食堂


舞台はフィンランドのヘルシンキ。サチエは小さな日本食堂『かもめ食堂』を開いている。お客はちっとも入らないが、コーヒーとシナモンロールに惹かれてすこしずつ常連さんが増えていき...。

小さな町の小さな店に、ちょっと変っているけれど気のいい人たちが集まる。特にサチエ(小林聡美)の人柄と笑顔が素敵で、こんな店が本当にあったらいいなと思わせる。なぜこんな町にひとりで店を開いたのかという説明はないし、主な要登場人物の来歴も描かれない。だからこそ観客も、気に入った店に集まった知らない者どうしのようにくつろいだ気持ちになれる。

キャスティングも光っている。小林聡美の魅力はもちろんだが、片桐はいりの不思議な存在感、もたいまさこの人とは別の時間を生きているような表情が、余分な台詞を必要とせずにゆったりとした空気感を出している。またこの2人に比べればフィンランド人のほうがぜんぜん普通っぽいので、結果として等しい親近感をもつことができる。

北欧を舞台とし、全編現地でロケをしたというが、まぎれもなく上質な邦画に仕上がっている。いろいろな要素があるが、この映画を成功させた一番のポイントはたぶん誰の目にも明らかであり、ちゃんと一番最後のシーンで再確認をさせてくれる。