人類は進化を止めてはいないか

生物は突然変異と選択淘汰により環境に適応し、今のように多様で驚くほど機能的な身体や行動を身に付けてきた。適者生存、弱肉強食の繰り返しにより、生物は進化をしてきたのである。

そこでいつも、事ある毎に気になって仕方がないことがある。人類はその社会を発展させてくるに従い、生存権や基本的人権という概念を生み出した。また科学技術を発達させ、猛獣と戦い、疫病と闘い、飢えや寒さと戦い、総体として勝利を収めてきた。そうして我々が先進国と呼ばれる地域で安心して暮らしている今、我々には進化のメカニズムは作用しているのだろうか。

先進国では、生まれた赤ん坊のほとんどは成長する。生物的に優れた(頭が良い、病気に強い、力が強いなど)個体が多くの子を残せるという傾向があるわけでもおそらくない。逆に、百年前なら生き延びることができなかったに違いない個体が(幸いなことに)医療技術のおかげで生き延び、成人して子を残せることもある。

誤解のないように言っておくと、私は何も生物としての進化を続けるために、劣った部分をもつ個体を淘汰するべきだというので決してはない。人類の将来を進化という面で憂慮しているわけでもない。核、地球環境、もっと憂慮すべき要因はいくらでもある。

ただ将来の人類は、私達や私達の祖先よりもずっと手足の力が弱く、病気がちで、目や歯や嗅覚や循環器や消化器が悪い人が多くなり、その時代の科学技術に依存しながら生きていくんだろうな、と思うのである。

そうして、いずれはエネルギー問題によって我々が頼っている科学技術の多くは使えなくなると思われる。そうなったとき、長い間サボった分だけ過酷な選択淘汰が、人類を襲うことになるのだろう。