★★★☆ 花よりもなほ


親の仇を討つ為に江戸に出てきた青木宗左衛門(岡田准一)は広い江戸で仇も見つけられず、貧乏長屋で暮らしている。ついに国許からの仕送りも絶え、町民の子供相手に手習いの塾などを始める。やがて宗左は仇を見つけるが実は剣術の腕はさっぱりで...。

『桜がいさぎよくく散るのは、来年また咲くことを知ってるから』といい、強くしたたかに生きる庶民の姿はとても爽やか。建前で生きているような武士達も、ちょっと屋根の下に入ると結局は本音が顔を出す。時代劇の形を取っているが、これぞいつの世にも通じる人間劇である。

豪華なキャスト陣をそろえているが、それを看板で終わらせずに一人一人しっかりと描く手腕は見事。役者のなかでは岡田准一の抑えた演技が生きている。それにしても宮沢りえはとても美しい女優になった。

同じ長屋に赤穂浪士が潜んでいて、討ち入りの機を狙っている。こちらも実に人間くさくて、面白い。史実とは異なるのかもしれないが、サイドストーリーとしてこの人間賛歌を補強している。