★★★☆ 雪に願うこと


東京で事業に敗れた学(伊勢谷友介)は、連絡もせずにふるさと帯広に戻ったが、立ち寄ったばんえい競馬で有り金をすってしまった。学の兄の威夫(佐藤浩市)はばんえい競馬で馬舎を営んでおり、一度は家族を捨てた学に冷たくあたるが、衣食と仕事を与える。

佐藤浩市、小泉今日子と名優たちが見事な演技を見せているが、この映画の主役はなんといっても馬達である。体重1000kgを超え、サラブレッドとはまた別の美しさと力強さをもつ彼らは、役者のどんな演技よりもすばやく観客の心を捉える。

それにひきかえ、主演の伊勢谷友介の大根ぶりは恐ろしい。事業を潰し卑怯にも逃げ帰ってきた現代っ子という役にははまるかもしれないが、役者としての魅力が片鱗も見えない。

吹石一恵は、特に目立たなかったが、特に目立つことを求められる役でもなくちょうどいい感じ。安直に学との恋物語にならなくてほんとうによかった。

津川雅彦、山崎努という2人の大御所を端役で使っているが、微妙にかぶってしまっている。一人はもっと無名の役者でよかったのでは?

主役の失敗というハンデを抱えつつも途中までいい感じだった本作だが、最後にこけてしまう。本作の影の主役ともいえる競走馬のウンリュウが最後に勝利を収めるというセオリーどおりのシナリオで、盛り上げればそれでいいと思うのだが、そこにたいした決意もないのにとりあえず東京へ戻ろうと競馬場の門にむかってふらふら歩く学の姿が挟み込まれる。ラストカットは門を出た横姿のストップモーション。なんの盛り上がりも感動も、余韻も残さない大変に下手くそなエンディングとなった。

思うに本作は、原作のすばらしさと一部の俳優(馬を含む)によって平均以上のレベルになっているが、監督は映画を知らないど素人なのではないだろうか?