★★★☆ 幻の光


ゆみ子(江角マキ子)の祖母は子供の頃に失踪した。ゆみ子は祖母を引き止められなかったことを心の傷として生きていた。十数年後、ゆみ子は夫と生まれたばかりの息子と幸せに暮らしていたが、夫は線路の上をひとり歩いていて死んでしまう。なぜ夫が死んだのか、ゆみ子には判らない。やがてゆみ子は知人の紹介で遠く輪島の漁村へ再婚して行き、厳しい自然の中で落ち着いた生活を送るようになる。しかしやがて、ゆみ子は再び夫がなぜ死んでしまったのかを思うようになる。

人間を描いて定評のある是枝裕和監督のデビュー作だが、まずその映像技術に舌を巻く。完璧な構図、奇跡のように美しいロングショット、超望遠を使った臨場感。日本海の冬の濃密な描写。そこに同じく初主演の江角の、全存在を賭けたかのような見事な演技。映画作りの教科書にしたいような作品である。

ストーリー展開は淡々としていて説明も少ないし、ぐいぐい引き込まれて時間を忘れるというような映画ではない。観るほうが試されるような映画である。