前から行きたかった旭山動物園に行った。仕事の関係で札幌に2週間滞在したのだが、間の週末に列車で旭川へ向かう。札幌から特急、バスを乗り継いで約2時間で旭山の正門に着く。
バスを降りて感じるのがまずその門の素朴さと小ささ。ゲートをくぐると雪で作ったペンギンなどが迎えてくれるが、左側に小さな売店があるくらいで趣きは旭川市民の憩いの場という雰囲気。これがいま日本で一番有名な動物園、日本最北にして上野動物園を越える年間100万人の入場者を受けれる奇跡の動物園の、飾らない玄関口だ。
旭山動物園といえば動物の自然な生態を引き出した動態展示で有名だが、現場に行くとなによりも観客と動物たちの距離の近さが感じられる。手書きの看板を辿り、動物園の人たちの工夫と想いのつまった展示館を回る。最初に入ったのはあざらし館。アザラシが垂直なアクリル管の中を下から上へ泳ぐ姿を人々が歓声をあげながら見つめている。アザラシはしょっちゅう泳いできて、かれらの自然な行動がひきだされているのだと感心する。動物と人の距離が近くて、わずか数m先に生き生きとした動物の姿を見ることが出来る。
次に入ったのがぺんぎん館。人間が水中のアクリル管の中を歩く有名な歩道を行くと、水面にゆったりと浮くペンギンの姿が空を飛ぶように頭上に見える。彼らは空は飛べないが、水中を自由に飛ぶことが出来る。水面から水中に還って行くぺんぎんは細かい泡を後ろに引きながら、想像以上に素早くたくみな泳ぎを見せてくれる。
その後はしろくま館。ちょうど観客の目の前でしろくまがプールで遊んでいて、観客が歓声をあげていた。この動物園は観客への指示が行き届いていて、水槽の前の人は中腰になるように、決してカメラのストロボを焚かないようにとの注意の声が響いている。観客のほうもそれは概ね心得ていて、実にマナーがよい。
そののちもうじゅう館を見る。アムール虎はうろうろ歩きまわっていて迫力満点。一方ライオンは寒そうに一塊になってよく分からない。ユキヒョウと黒豹のしなやかな身体つきと動きは惚れ惚れするほど美しい。ヒグマは死角にうずくまっていてよく見えなかった。
小動物舎ではレッサーパンダが食事をしていた。想像以上にかわいくてビックリ。本日最高の超癒し系動物だった。ペットに欲しい!!それからシロフクロウ。真っ白で雪の風景に溶け込んでいるうえに、目鼻も目立たずのっペらボーのおもしろい顔をしている。
それからしっかりと手で除雪された雪の小路を辿る。皮底のビジネスシューズなのでおっかなびっくりだが、それでも何とか歩けるのは職員の方々の心遣いのおかげなのだ。エゾシカ展示では、職員の方の食べるとおいしいよという掲示に若干引く。おらんうーたん館では、観客の上方に樹木を模したポールがたっており、柵なしで直接オラウータンの親子を見ることが出来る。屋外には空中アスレチックのような施設がありおもしろそうだが、残念ながら冬季は使われていない。そこからサイ、キリンを見るが、雪の中でみるのはなんとも不思議な感じがする。それにやっぱり寒そうだ。ヒツジやヤギ、アヒルなど身近な動物たちもいて、看板も手書きのものが多く、全体に手作り感あふれる市民の動物園という感じがする。
ひとまわりしたところで昼飯にする。こちらの施設もシンプルでこじんまりとしているので大混雑だが、イライラする気にもならずゆっくりと待つ。旭川ラーメンはそれなりに美味だった。
最後にぺんぎんの散歩を見る。開始の30分くらい前から通路沿いに並ぶ。係員のひとが終始ひとの整理をしていて大変そうだ。子供たちが静かにしていられずに雪ではしゃいでいる。寒くて凍えきったころ、遠くの方からざわめきが伝わってくる。と、人ごみの間からぺんぎんたちがよちよちと歩いてきた。夢中でEOS 40Dのシャッターを切る。気がつけば肉眼で実物をみないうちに通り過ぎてしまった。その瞬間、かなり冷静さを失っていたように思う。とはいえ通りすぎるのは一瞬のこと。観光客はともかくとして、毎日このイベントを行っている係員さんの大変さには頭が下がる。
帰りがけに小さな売店で絵葉書とハンカチを買った。ハンカチはかわいすぎて使えないけど、記念として大切にしよう。