今日はオアハカ中心街から10kmくらい離れたところにある山の上の遺跡、モンテ・アルバンヘ行く。昨日予約したバスは8時30分だが、7時過ぎくらいにホテルを出て町をそぞろ歩く。朝は人が少なくて落ち着ける。バス乗り場への道の途中にあるベインテ・デ・ノビンブレ市場の中に写真付きのメニューを看板にした食堂があったので、朝食にトルティーリャのトマト煮を食べる。同じテーブルにメキシコ人家族と思われる旅行者がいて話しかけられた。言葉はほとんど通じないがお母さんがとても陽気で楽しい。お父さんはずっとビデオを取っていた。僕も合わせて手を振って見せたりする。あまり時間がないので大急ぎで食べて、バスに乗る。バスは観光客向けの座席指定なのだが、途中でどんどん現地の人を乗せて行った。お金を払っている様子もない。おそらく遺跡で物を売ったりして働いている人を乗せてあげているのだろう。バスは山道を登る。途中にかなり粗末な家も見える。路肩が崩れていたりして少し心配になる。30分ほどでモンテ・アルバンに着いた。
入り口のまわりには石の細工物やソンブレロを売る露天が並んでいる。N$48の入場料を払ってゲートから入る。入り口からは遺跡の全容は見えず、少し登る。標高が高いせいかすぐに息があがる。遺跡はすべて復元のようで、石をセメントで固めて作られている。それでも全体が廃墟然としているので、白ける感じはしない。まさにマヤ文明といわれて想像していたとおりの趣きだ。超望遠レンズで迫力のある写真を撮りたくなるが、85mmでなんとか頑張る。北の大基壇から入り、遺跡全体と南の大基壇を見渡す。かなり大きい空間を禍根んで建造物が四方に並んでいて、上から見下ろすとサッカー場のようだ。中央には大神殿と天文台が見える。天文台だけが他の建物と違い、45度回転している。まだ朝なので人も少なく静かだ。日差しもまだやわらかく、ゆっくりと散策をする。南の大基壇の階段は急で、子供たちはどうしても駆け登りたくなるようだ。階段の上に腰かけていつまでもボーッとしていたいが、帰りのバスは2時間後と決められている。ゆっくり廻っても2時間あれば十分な広さだが、できれば昼寝をしたいな。南の大基壇のちかくに踊る人々のピラミッドと呼ばれている建造物がある。ここからは陽気に踊っているように見える人々のレリーフが見つかっている。しかしこれは本当は踊っているのではなく、捕虜にされたり死刑にされたりした敵や罪人の姿なのだという。他ではあまり見かけないほど、素朴で簡単な彫刻だ。遺跡の中にもところどころ物売りのひとがいて、小汚い人形等を買わないかと声をかけてくる。それとなしに見ていると、彼らは暇な時はその人形を手で擦ってわざと汚して、本物らしく(?)見えるようにしている。おっちゃんの手垢で汚れた人形なんてタダでもほしくはない。本物の出土品はほとんどが昨日見たオアハカの博物館に収蔵されている。ここにも小さな博物館があっていくつかの副葬品などが展示されているが、残念ながら昔の人々の息遣いは感じられなかった。
外に出ると人が増えていた。やはり遺跡めぐりは涼しくてすいている朝一番に限る。バス乗り場へ向けて降りていると、昨日市場で出会った家族とまたあった。お母ちゃんが喜んで手を振ってくれた。帰りのバスは30分くらい待たされた。オアハカに戻ったのは12時頃。まだ半日あるので、アメリカ大陸最大の木があるエルトゥーレに行きたいと思い、2等バスターミナルに向かう。途中にあるアバストス中央市場に立ち寄ったら、巨大な市場で本気で迷った。まっすぐ歩いて突っ切るだけで300mくらいある。人が多くてゆっくりとしか歩けないし、方向感覚を失う。肉屋、八百屋、スパイス屋、穀類、フルーツ、生活雑貨など間口2〜3mの小さな店ばかり、何百となく並んでいる。こんなに大きかったら同じ物をあつかう店も何十とあるはずだが、よく真ん中のほうの店がつぶれないもんだ。N$5で買ったカットフルーツ詰め合わせが美味しかった。
かなりやれやれという感じで市場に併設された2等バスターミナルに着いた。しかしバスが分からず、既に結構疲れていたせいもあって諦めた。こういう気候の国では、シエスタは必要なものなんだなと勝手に実感する。まだ1時前だがいちどホテルに戻ることにした。途中、カテドラルの横のレストランでオアハカ名物というカソエラ・デ・ケソというスープを食べる。地球の歩き方に載っている店だったが、単に溶かした塩辛いチーズが出てきただけで、全然美味しくなかった。ガイドブックでおすすめと書いてある店にも結構当たり外れがあって難しい。ホテルに戻り、シャワーを浴びて昼寝をする。昨日からときおり花火のような爆発音が聞こえるが、気持ちのいい昼寝だった。6時前に、そろそろ陽が傾いてきたので町に出る。
郵便局でハガキを出して夕暮れの町を歩いていると、カテドラルの横から大きな音楽が聞こえてきた。みると3mほどもあるハリボテの人形がくるくる廻って踊っている。綺麗に着飾った女性達も一緒に踊っている。テレビカメラも何台か来ていて、観客の輪ができている。バンドの陽気な生演奏にあわせてくるくる廻る人形は、ぶらぶらとついている手が回転するときだけ広がり妙に表情が豊かだ。見ているとこっちも自然に楽しくなる。やがて間近で花火が打ち上げられる。昨日から聞こえた爆発音はこれだったのか。鉄でできた看板に花火が仕掛けられていて、火をつけると鼠花火のように廻ったり文字が浮かび上がったりする。どうやらこれからお祭りが始まるようだ。なんていい日に来たんだろう。
あたりはもうだいぶ暗くなってきた。ラソレダー教会も見たくて一度ソカロを離れる。こちらも美しくライトアップされている。遠くの山肌の町の灯に、教会のファサードが浮き出て見える。教会の中はコンサートか何か始まるようで、入ることができなかった。ソカロへ戻ろうと道に出ると、人で溢れかえっている。いくつかのバンドと踊り子たちのグループが、それぞれの演技を披露しているのだ。バンドの生演奏が間近で響き、こっちもハイになる。花火の音も追い討ちをかける。何て素敵なサービスなんだろう。メキシコシティから遠かったが、わざわざ来て本当によかった。ここで例のメキシコ人家族と2度目の再会をする。観光客は覆いが小さな町なのだ。やがて皆ソカロへ向かって歩き出し、パレードがはじまる。人々はカテドラルの前に集まり。ここで音楽と踊りは最高潮を迎える。カテドラルの反対側にはステージと客席が設置されていて、獅子舞のような民族舞踊が披露されていた。
まだオアハカでちゃんとした食事をとれていないので、どの店にしようかとソカロのまわりをうろうろする。もう9時近いのだがメキシコ人にはまだ早いのか、あまり食事をしている人がいなくて店を選びにくい。結局、ソカロに面したDEL JARDIAという店に入る。今日はなんとしても美味しいディナーを食べたかったので、辞書を片手に慎重に選ぶ。結局、SOPA CAMPESINA、CARNE ASADA A LA OAXACAとセルベサを頼む。メキシコはスープが美味しい。コンソメ風のスープに卵が入っていて、コリアンダーとライムの風味が良い。メインディッシュは薄く伸ばした牛肉のステーキに、トマトソース、モーレソース、豆のソースと3種類ついていて美味しかった。これでセルベサ2本と合わせてN$165。レストランのすぐ近くではバンドが演奏をしている。チップを貰いにきたら払ってあげようと思っていたのだが、結局来なかった。その代わりに小学生くらいの子供たちが物売りに来た。主義なので何も買ってあげなかったが、10才以下と思われる女の子もこんな時間まで働いているのかとすこし心が痛んだ。11時を過ぎて人々が帰り始めたので、僕も町を眺めながらゆっくりと宿に戻る。