昨晩は快適だった。6時頃に目覚まし時計で起きて外を見ると、夜の間に雨が降ったらしいが、今は雲の間から空が見えている。外はまだ真っ暗だ。列車の時刻は9時前なのでホテルでゆっくりするが、8時を過ぎても一向に明るくならない。これは夜が長いなぁ。
ホテルを出るとすこし雨がパラついてきたが、道行く人はだれも傘をさしていない。昨晩よりは暖かいようだ。駅につくと既にTGVは入線していて、自販機のコーヒーを買って乗った。この1ユーロのコーヒーにはこの後何度となくお世話になる。列車の席は指定席で、2等車両だが十分に清潔で快適。シートなどのインテリアデザインもおしゃれだ。ホームのコンポストゥールで忘れずに切符に打刻をする。イタリアではこれで大変な目にあったからなぁ。また、荷物には名札をつけなければいけないので、ホームで用紙をもらって記入する。
TGVはスピード感満点で、のどかな田園地帯を駆け抜ける。日本の新幹線と違って高架だったりまわりを防音壁でかこわれていたりしないので尚更だ。緩やかな丘の続く大地は、小麦畑だろうか、薄緑に萌芽している。雲がとても低くて手が届きそうだ。
ランスの駅に着くと小雨が降っている。まずは明日の切符を買う。ナンシー行きの列車は6時19分の次は16時47分と、一日2本しかない。しかも2時間30分もかかる。パリからならTGVで1時間30分で行けるのに、やはり地方都市間の交通の便はあまりよくない。今日は天気が悪いので今日中にナンシーに行ってしまおうかとも思っていたが、安易な計画は打ち砕かれてしまった。
駅を出て、まずは大聖堂(ノートルダム大聖堂)へ向かう。小雨なので傘はささない。途中の道にたくさんの小さい店が出ていて楽しい。クッキーやお菓子を売る店、ハム、チーズ、お酒などの店、アクセサリー、人形、置物など、全部で100店くらいはあるか。サンジャック教会の前にはメリーゴーランドがあり、親子連れが乗っていた。この風景はその後多くの町でみかけたものなのだが、このときは何か得をした気がして気分がよかった。
大聖堂につくと、ちょうど鐘の音が鳴り出した。この大聖堂はかつてフランス国王が戴冠式を行っていた場所で、ジャンヌ・ダルクがシャルル7世に戴冠式を行わせた場所でもある。中でミサをやっているのかもしれないので、すぐには入らずにしばらく外から眺める。その大きさ、造形、装飾いずれも見事なものだが、残念ながら正面から見て左側が修理中で覆われていた。前庭にジャンヌ・ダルクの銅像があるが、表情に乏しく若干期待はずれ。まだ時間が早いせいかあまり人はいない。
大聖堂へ入ると、荘厳な雰囲気が広がる。身廊の手前はステンドグラスがただのガラスになっていて明るく、奥はちゃんとしたステンドグラスのため暗い。不思議な造りだと思ったのだが、後から考えると戦争などの被害のためかもしれない。祭壇ではミサを執り行っていたので、奥へは進まず、いったん外へでる。
荷物を置きたいので、駅の近くまで戻ってホテルを探す。ガイドブックに載っていたCrystalというホテルに入れた。48ユーロ。5階の部屋だが4階までしかエレベータがなく、最後の1フロアは階段で登る。赤いカーペットと薄黄色の壁紙が綺麗な部屋だ。時刻はちょうど昼頃。パンとワインで軽く腹ごしらえをする。外は結構寒かったので、長袖の肌着とタイツを追加で着込んで外にでる。この厚着具合は東京ではまず考えられないが、この後マルセイユを除いてほとんどの町はこれで過ごした。
次に目指したのは町から1kmくらい離れたところにあるサン・レミバジリカ聖堂。ガイドブックにはバスが便利とあるが、面倒なので歩いていく。こちらも大きくて立派な聖堂だが、人はほとんどいない。静かで穴場的なスポットだ。
大聖堂周辺に戻り、トー宮殿に入る。6.5ユーロ。下層階はクリスマスの特別展示なのか、キリスト生誕を再現したフィギアが数十も展示されている。これもこの後あちこちでみた。上層階には絨毯のように巨大な王のマントや、ミサで使うとおもわれる黄金製のパン(?)、ルイ15世の王冠のレプリカなどが展示されていた。ガイドブックではおすすめスポットだったが、800円近く出してまで見るものでもなかった。
次に、もういちど大聖堂に入り、ステンドグラスをゆっくりと見る。一番奥にシャガールの寄進したステンドグラスがあり、これが掛け値なしに素晴らしい。絵のタッチはシャガールそのもので、青を基調としたバックに、キリストや王やジャンヌ・ダルクなどが描かれている。右側の側廊にはワイン造りを描いたステンドグラスもあり、シャンパーニュ地方の特色があらわれている。
その後、明日の切符を買うために駅へ行った。目抜き通りにはたくさんの人が出て活気があふれている。小腹が空いたので燒き栗3.5ユーロを買った。日本の栗より素朴で甘味も弱いが、熱くて美味しい。子供用のトランポリンが店を出していて、子供たちが飛び跳ねて遊んでいる。体にゴム紐の安全索がついていて、落ちたり転んだりしない用になっている。これは日本でやってもはやるかも。明日はナンシーへ行く。6時19分の列車で、29.8ユーロ。
町はそろそろ夕暮れ時。スーパーを探しがてら少し歩き回る。寒さと疲れで外食するのが面倒になったので、パン、チーズ、ハム、ワインなどを仕入れる。ホテルでテレビを見ながら食事をしていると、早めにワインが回っていい気分になった。
