2000年に劇場で映画『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を見てすっかり打ちのめされてしまいながらも、主人公のセルマに魅入られてしまった。彼女を演じたのはアイスランド生まれの歌手ビョーク。映画のヒロインと実在の歌手とは別だとわかりつつも、当時手に入った彼女の全アルバムを買いあさった。
ビョークの歌はセルマの歌(もちろんビョーク作)とはぜんぜん似ていなくて不思議だったが、既成のリズムや音階、楽器の音を打ち破った彼女の曲は僕にとってはカルチャーショックで、ある時期ずっと聞き続けた。
そして2001年に発売された当アルバム。日本でテレビCMまで流れた代表作といえるが、僕にとってもビョークのベストアルバムだ。ノイジーで衝撃的な1曲目Hidden Placeではじまるこのアルバムは、5曲目のPagan Poetryで大きく盛り上がり、6曲目Frosti(インスツルメンタル)でいちど静かに沈み、そして7曲目のAuroraからまた別の世界を作り直し、12曲目Unisonでもういちどクライマックスを迎えて静かに終わる。まるでひとつの物語のようだ。ネット上の評価ではAuroraがいいという人が多いが、僕はPagan Poetryがベスト。車内で大音量で聞くと前が見えなくなって危ない。
この後のビョークは残念ながら僕にはわからない音楽になって行った。たぶん同じところにとどまっていられないアーティストなのだろう。いつかまた僕の求める音楽を横切ってくれるんじゃないかと期待して、今でもアルバムを追い続けている。
