今日と明日はロワールの近辺に滞在して古城めぐりをする予定。交通の便がどうなっているかわからないので、まずはトゥールまで行ってバスなどを調べることにする。うまくツアーバスに乗れれば楽ちんなはずだ。
6時30分ころの列車でボルドーを出てトゥールに向かう。ところが途中で何かトラブルがあって列車が止まってしまう。僕はのんびりした観光客だが、意外と(というかやっぱり)周りの人ものんびりしている。結局1時間くらい遅れた。そのうえ乗換えにも失敗して、トゥールに着いたのは10時30分ころ。
ところがトゥールの駅でバスを調べてみると思った以上に交通は不便なようで、何箇所も回るのは難しそう。そこで今日はシャンボール一箇所に絞ることにした。シャンボールへ行くにはまず列車でブロアまで行く。先ほど乗り換えに失敗して30分くらい待ったサン・ピエール・デ・コールをもう一度通過して、11時30分ころにブロアへ着く。
ブロアのインフォメーションでシャンボール行きのバスの時刻を聞くと12時だという。ちょうどいいタイミングで午前中の時間ロスを取り戻せそうだ。バス停がわからずうろうろしていたら、他の旅行者から声をかけられた。サンパウロから来たという彼は役者で、ヨーロッパをぐるりと旅しているという。フランス語も英語も出来て、カタコトの日本語で挨拶もしてくれた。この日は彼と一日回ることになった。
12時と聞いていたバスは実は12時20分で、寒い中すこし待たされた。駅を出てすぐ左手の、バス停というよりはバス駐車場のようなところにおいてあったバスのうち一台に、やがでシャンボール行きの表示がでる。寒いんだから早く乗せてくれればいいのに、発車直前まで乗せてくれなかった。
バスの乗客は僕とペドロというその彼の2人だけ。40分ほどでシャンボールへ着いた。空は暗くて雨が降りそうだが、シャンボールの城は息をのむくらい美しい。ペドロと互いに写真を撮りあった。
城は大雑把にいうと正方形をしていて、四隅に四角い部屋がある。そのためホールは十字型になる。十字の中心にはらせん階段がある。らせん階段は二重らせんになっていて、上りの人と下りの人がすれ違わずに済むようになっている。
らせん階段を上ると屋上に出る。屋上はたくさんの煙突や塔が生えていて実に賑やか。ロワールの数多い城の中でも異彩を放っている。少し雨が降ってきて寒いので、すぐに中に戻った。
城の中の十字型のホールには、各階に暖炉が設置してある。そのうちのいくつかで実際に火を焚いていて、近くであたると鳥肌が立つように体が暖まる。今日はとても寒いのだ。見学をしているうちについに雨は雪になってしまった。大粒の湿った雪だ。ペドロははじめて雪を見たという。晴れた日のシャンボールもさぞかし美しかろうが、垂れ込めた雲の下で雪の舞うシャンボールも珍しくていいかもしれない。
ペドロが食事をしたいというので城を出た。ところが開いているのは売店ばかりでレストランもカフェも開いていない。しばらく写真などを撮って過ごしたが帰りのバスまでにはまだ2時間もある。(ちなみにペドロは時計を持っていなかった。時計代わりの携帯の電池も切れてしまったらしい。)外で待っていたら凍えてしまうので、もういちど城の中に入れてもらって暖炉に当たることにした。
日本の修学旅行の高校生がやってきた。やっぱり若者はにぎやかだ。この旅行ではじめて日本人に会ったが、この後パリではたくさんの修学旅行生を見かけた。子供たちがこんなに集団で旅行に来るのは間違いなく日本人だけだと思う。なんともリッチな話だが、パリでの就学旅行なんて楽しいだろうな。
1時間半くらい暖炉の脇にいたが、バスの時刻が近くなったので外に出る。雪はやんで一部だが空が見える。せっかくなので青空のシャンボールが見られないかと期待したが、そこまでは晴れなかった。幸運はロンシャンで使い果たしたか。
そろそろ陽も傾く時刻。木々のシルエットが夕空のグラデーションに映える。やがて待ちに待ったバスが現れる。今度も2人で貸切だ。行きとは少し違うルートでブロアの駅へ向かう。ペドロが少し慌てていた。
駅に着いたのは17時30分近く。あたりはもう薄暗く、建物のライトアップが始まっている。ペドロと一緒に写真を撮りながらシャトーの方へ歩く。シャトーは17時30分閉館なので見学は出来なかった。僕はガイドブックを見て知っていたが、ペドロはとても残念そう。外から見ても美しい建物だった。
駅前まで歩き、ペドロと別れる。彼は今日パリまで行き、そのあとバルセロナ、サンティアゴ・デ・コンポステラ、そしてマドリードへ行くという。メールの交換を約束し、握手をして別れた。
もう夜ですこし心配だったが、ホテルは予定していたところに入れた。54ユーロとすこし高いが、広い部屋に空色のきれいな壁紙、豊富なお湯と実に快適なホテルだった。ただし夕食はパンとハムとワインのみ。レストランに行く元気も残っておらず、スーパーも近くにはなさそうだったのだ。
しかし出だしはつまづいたが終わってみれば実に充実した一日だった。少量のワインでもいい気分になり、ふかふかのベッドで19時ころには寝てしまった。
