フランス旅行(5日目)アルケスナンからリヨンへ

今日は世界遺産、アルケスナンの王立製塩所を見学し、そのあとフランス第二の都市リヨンへ行く。7時22分の列車はここ数日の中では楽な時間。ホテルから駅までも目と鼻の先なので6時に起きてゆっくりする。いつもどおり駅でクロワッサンとクリームパンの朝食。日本では朝ごはんは食べないのだが、この旅行では早寝早起き、よく運動して朝ごはんも食べる。なんと健康的なことか。

アルケスナンまではわずか22分でついてしまうのだが、日記を書いていたらうっかり乗り過ごしてしまった。気付いたのはドアが閉まった瞬間。しまった!と思ったが遅かった。次の駅で降りて駅員さん戻る列車を尋ねると8時19分にあるという。結果からいうと、7時44分に無人のアルケスナン駅で降りて10時まで待つよりも、若干の時間でも暖かい隣の駅で時間をつぶせたので結果オーライだった。アルケスナンの駅はトイレもなくて駅舎も施錠されている。

天気は風が強くて荒れ模様。ときどき突風が音を立てて過ぎていく。駅ホームの待合室で防寒具を多めに着込む。駅を出るとすぐ道の左手に大きな門が現れる。正面の交差点に一軒バーがあいていてコーヒーを飲みたくなるが、とりあえず製塩所の周りをぐるりと回ってみることにする。この建物は建築家クロード・ニコラ・ル・ドゥーが理想都市として設計し、中央の製塩所の周りに各種都市施設、住宅などを二重の円形に立てる予定だったのだが、一重の半円で終わってしまった。裏手には大きな原っぱがあり、航空用の吹流しが立っている。毎年ここで熱気球の大会が開かれるらしい。頼めばパワードパラグライダーも飛べるのかしらん。吹流しはずっと水平になびいていて、風速は余裕で5メートル以上。上着のフードをかぶって風に耐える。

製塩所のまわりはずっと高い塀で囲まれていて、中の様子は伺えない。ただその広さは大体感じられた。正門の脇で風をよけながら日記を書きつつ更に30分くらい待つ。10時過ぎ、大きな木の戸が開いてやっと中に入れる。見学者は最初から最後まで僕一人。冬の旅はなかなか贅沢だ。この施設は、実はいくつかの建物があるだけでたいした見所はない。入って左手の建物では、様々な建築物の模型が展示されていた。製塩所中央の建物では2階で絵画の展示、1階では世界中の製塩所/採塩所の方法が写真で紹介されていた。塩が析出している水辺の風景は異世界のようで美しい。左右の製塩所本体の建物は大きなホールのようになっていて、中は何もなかった。左手のホールには舞台のようなものが作られていた。実質的な見学時間は40分程度だったが、それで十分だった。

ブザンソンに戻る。リヨンへの列車が出るまでには1時間30分ほどある。昨日もあまりゆっくり町を見ることが出来なかったが、1時間30分ではたいして回ることもできない。町の広場へ行って昼食を食べることにした。昨日見かけておいしそうだったジャガイモと肉の重ね焼き、それからVin Chaud(ホットワイン)で広場の賑わいを見ながら昼ごはん。あわせて8.5ユーロの軽食だが日本円で考えると1000円。かなり高いと思うがどちらも温かくておいしかった。Vin Chaudなど日本でも寒い日には飲みたい。町かどで立ち食いランチを済ませたら、駅へ向かいリヨン行きの列車に乗った。

リヨンの駅をでて、まず町の大きさと人の多さを感じる。駅前は大通りで車が多い。トラムも何路線か走っている。中心街へはメトロで行くのだが、路線と乗り場がよくわからなくてついつい歩いてしまった。このタイムロスが、後でたたることになる。15分くらい歩いてローヌ川を渡ると華やかな町並みになってきた。そろそろ日没だ。レパブリック通りを左に曲がり、ベルクール広場へ向かう。右手のフルヴィエールの丘の上に、ライトアップされた聖堂と赤い電波塔が見える。聖堂は真青な灯りだ。ベルクール広場では観覧車が光っていた。広場の先でホテルを見つけようとしたが、どこも満室。一軒など目の前で電話で予約が入ってしまい、あと2分前にきてくれれば...といわれてしまった。時刻が遅かったこともあるが、今日はなにかイベントがあって、何千人(とホテルの人は言った)もの人がリヨンに集まっているようだ。手当たりしだいあたるが、たいてい入り口のところに満室の看板が出ている。出ていないところでも空室があるか聞いてみるとないという。リヨン・ペラーシュ駅までいっても空き室がなかったが、7軒~8件目に入ったこぎれいなシティホテルでやっと見つけた。シングルの部屋で95ユーロとかなり高いがしかたない。部屋はさすがにきれいで、50ユーロの部屋とは格が違う。電気ポットやコーヒーの準備もあった。

予定外の出費に若干落胆しながら町へでる。リヨンにもいろいろ見所はあるようだが、もう18時なので博物館などはすべて終わっている。ソーヌ川を渡って、とりあえずフルヴィエールの丘に登ることにする。丘にはロープウェイがかかっている。観光用のロープウェイをイメージしていたのだが、普通の生活路線のようで、メトロと同じチケットで乗れる。買ったものの使っていなかった一日券4.5ユーロをやっと使える場面が来た。丘の上のノートルダム・ド・フルヴィエール・バジリカ聖堂は、内装が色鮮やかで息を呑む美しさ。大きすぎないのも色彩がよく見えていい。もうすぐ閉館で、人がほとんどいないのもいい。左側の側廊に大きな時計が置いてあった。

外に出て、聖堂の左手の展望台から町の夜景を見下ろす。町のあちこちにある聖堂などがライトアップされている。それも白やオレンジではなく、赤や青やオレンジや緑の鮮やかな色で照らし出されている。しかも場所によっては刻々と色を変えたりしていて、ちょっとだけパチンコ屋みたいだなどとも思った。夜景をしばらく眺めていたら、7時になって聖堂の鐘が鳴った。ケーブルカーでふもとへおりる。音楽学校の生徒たちらしい一群でケーブルカーは満員。あちこちで歌声が聞こえる。発車間際、駆け込もうとして間に合わなかった生徒たちが待ってくれと大声で叫んでいる。これが終電だったのかな?

ケーブルカーをおりて左手に曲がり、世界遺産の旧市街を歩く。石畳の道が美しいが、暗いため町並みはよくわからなかった。ソーヌ川をわたり、夕食をどうしようかと少し歩いたが、手ごろなケバブ屋に入った。4.5ユーロで味もボリュームもまずまず満足。ただケバブ屋はイスラムだからなのかビールなどを置いていないところが多くてちょっと残念だ。

そろそろ疲れが出てきたので、ホテルのほうへ向かう。ベルクール広場にサン・テジュクペリの像があるのだが、暗くてよく見えない。二人の男の人がいて、座っている前の人の方に後ろの人が手をかけているのだが、どっちかは星の王子様かな。

ペラーシュ駅へ行き、明日の切符を買う。アヴィニヨンへ行く前にオートリーヴにあるシュヴァルの理想宮を往復したかったのだが、戻ってきてからの乗り換え時間が3分しかなくてあきらめる。そのかわりアヴィニヨンについた後でオランシュに往復して、ローマ時代の劇場を見ることにする。スーパーでつまみ類を買ってホテルに戻る。テレビで映画パンズラビリンスをやっていて、思わぬところで思わぬ理由でうるうるしてしまった。