不況の今こそ自己投資をしたい

アメリカ発の金融危機の影響が世界中に波及し、日本でも実体経済の減速が著しい。企業も設備投資を控え、人員の調整を進めている。個人消費においても、生活不安から不要不急の消費が抑えられており、さらに経済を悪化させている。マスコミは連日貧困者の苦境を報じ、政治は前代未聞の混迷を見せ、日本は不況のどん底へまっさかさまに落ちていくかのように見える。

しかし今こそチャンスだと捉える企業もある。円高による海外企業の好条件な買収。徹底的な低価格路線。好況時には大企業に吸い上げられてしまう優秀な人材を積極的に採用する企業もある。積極的にチャレンジをしてこの時期を乗り切った企業が、次の景気の波が来たときに成果を手にするのだろう。

個人のレベルでも同様である。好況の時には忙しくて自分を顧みる余裕はなかったかもしれないが、今はそれを行う格好の好機である。

まず、好況の時には取れなかった時間が取れるようになる。会社の業務時間にも、プライベートな時間にも余裕が増えた人が多いと思う。時間は個人にとってもっとも貴重で限りのある資源だ。これまで出来なかった勉強やチャレンジをするには今をおいてはない。

とはいえ勉強や習い事をするにはお金がかかる。通信教育や書籍代も安くはない。しかし私はそのために躊躇をするべきではないと思う。まず第一にそういったお金は消費ではなくて投資である。消費したお金は楽しんだあとには消えてなくなるが、投資はリターンを期待するものである。必ずしも金銭的に報われるとは限らないが、個人が追求する価値はお金だけではない。人生や生活を豊かにしてくれるリターンであれば、投資を検討する価値はあるはずだ。ついでに言うと、勉強にかかる費用はたいていの場合、遊びよりも安く上がる。

それに不況といっても本当に金のない人は多くはないと思う。何しろ日本は個人金融資産1500兆円の国だ。若者は持っていなくてもその親はもっている。遊ぶ金をせびるのは最低の子供だが、最低限の生活費は自分で稼いだ上で、どうしても必要な学資であれば親の援助を求めるのも別に不孝ではないだろう。

今の時期に自己投資をしておかなければならない理由もある。まずはこの不況下、企業間の競争も個人(従業員)間の競争も厳しくなる。この流れは当面続き、次第に激化する。そのときに競争優位性を身に付けていない個人は振り落とされるだろう。そのための努力に猶予期間はない。

そして、次の好景気が来たときにその差は決定的になる。この次の波では、苦境下でチャレンジを続けた企業が勝ち組になるだろう。そのような企業は極限までIT化や省力化、その他諸々の合理化を済ませている筈だ。その企業の社員は高い生産性をあげられるが、その人数は少ない。それ以外の大多数の人間は安い労働力として使われるか、仕事にもあぶれるだろう。確実に格差が広がる。

そのときに数少ない勝ち組になれるか、その他大勢に埋まってしまうかは、いまこのときの過ごし方にかかっている。不況だからといって節約一辺倒だった人間は次に戦える武器を身に付けられない。また残念なことに、今を乗り切るため赤字ぎりぎりでもがむしゃらでがんばっている人たちも展望は暗いだろう。時間もお金もあるはずだと上には書いたが、ない人であっても今は身を削って自己投資をするべき時期である。