メールは便利だ。相手の時間を気にせずに自分の好きなときに書ける。相手も好きな時間にチェックして返事をくれる。自分も都合のいい時間に返答すればいい。文字で書くので推敲できるし聞き間違いや聞き落としがない。履歴も残るので間違いが少ない。でも本当にそうだろうか。
ここに書くまでもなく、メールが原因のトラブルはたくさんある。社内メールのつもりでお客様の悪口を書いたらCc:に本人が入っていたという悲劇はこれまで2回聞いた。そこまで行かなくても、メールでやり取りしているうちにお客様と感情的な衝突に発展してしまったということは珍しくもない。そもそも文章で何かを表現する能力に徹底的に欠けた人もいるもので、メールでちっとも話が進まないことはけっこうある。
そういう非インタラクティブな文字コミュニケーションというメールの特性に起因する問題は今回はおいておこう。ここで考えたいのはメールの最も重要な特性といわれる、時間の有効活用についてだ。
メールのよいところは連絡する相手の時間を拘束しない(自分も相手に合わせずに連絡できる)ところだというが、近頃それは怪しくなってきた。昔みたいにメール配信に数時間かかるという事がなくなったので、リアルタイム性の必要な連絡でもメールを使うようになった。その結果、数時間以内に返信をしないと怒るお客様がいる。お客様を彼女と読み替えてもいい。
直接会って、少なくとも電話で話をするべき微妙な話題もメールで済まそうとする人も出てきた。これが冒頭のトラブルの一因でもあるが、それによって大変な時間とエネルギーを浪費する場面が増えた。微妙なニュアンスのメールを何時間もかけて書き、もしくはカッとなってマシンガンのようにキーボードをたたいて不用意なメールを書き、トラブルに火を注ぐ。これでは時間よりも大切な信頼を失ってしまう。
それから、近頃は忙しくて時間が貴重な人ほど大量の低プライオリティメールが届く。ほとんどは社内メールのCc:だ。いま一般的なオフィスワーカの勤務時間における、メール処理の割合はどのくらいなんだろう。それにかかっている人件費はいくらなんだろう。
そこで自戒を込めて、メールを見るのは13:00と17:30に限定したいと思う。朝一番に見ないのは、午前中は一番仕事の能率が上がるときで、そこに飛び込みの仕事が入ったら一日の予定が狂ってしまうからだ。17:30というのは、この先は残業になるので今日中にどこまで仕事をして、どこからは明日に回すかを判断する時間だからだ。業務に余裕があるときは15:00あたりにもう一度見てもいいが、忙しいときには見ない。
そうすると17:30以降に来たメールは翌日の13:00まで見られないことになる。そのメールは14:00くらいに返信されるので、急ぎの用でない限りは問題ないだろう。朝一番のメールも同様だ。それで怒る人もいるかもしれないが、それはメールの使い方が間違っているのだ。
急ぎの用件、微妙な調整を要する大切な用件は電話で連絡をするべきだ。どのみち相手の時間に割り込む覚悟で連絡をするのだから、書く時間、読む時間、理解するのにかかる時間、誤解を生むリスクを回避するために電話を使わなければならない。その上で、詳細を電話で伝えにくい場合はメールで資料を送る。相手の都合も聞かず、メールを送りっぱなしでトッププライオリティ対応を要求するのは、お客様といえど傲慢といわざるを得ないと思う。
とはいえ実際には緊急メールというものも送られてくる。それを見逃すと火の粉が降りかかってくるし、見て見ぬふりをしても自分にいいことはない。だからこそ、お客様にはあらかじめこう宣言したいのだ。メールは昼と夕方に見ています。急ぎの用件の場合はお電話ください、と。これが浸透すれば、メール処理に費やす時間は(電話対応の時間を差し引いても)だいぶ短くなると思う。
ただし上記の議論は、メールサポート自体が業務(契約)の一環となっている場合はもちろん含まない。そういうお客様に対してはリアルタイムで対応しないと後が怖い。
