名刺には笑顔の写真をのせよう

仕事で出会った人とは必ず名刺を交換する。名刺には会社名と肩書き、連絡先が書いてあるのでいちいち聞いてメモしなくていいし、自分にとって仕事上どれくらい利用価値のある人なのかがなんとなくわかる。身分証明のような意味合いもあって、名刺交換をしてからでないと相手を信用して話を始めることもできない。そういう風にお互いに便利なので、名刺交換という習慣はしっかりと根付いている。

そのように名刺とは、ビジネスマン同士が出会ってから最初の期間、間を取り持つ重要なツールである。その割に世の中には、デザインがきれいなだけで工夫のかけらもない名刺が多い。僕は名刺にはぜひ顔写真をのせるべきだと思う。これからその理由を述べよう。

人と人との付き合いは第一印象が大事だ。ビジネスのように表面的(失礼)な付き合いをするのであればなおさら、最初の印象が後まで続く。そのために身だしなみ、名刺の渡し方、挨拶の仕方など、まとめれば本一冊になるほどのノウハウがある(僕は身に付けていないが)。その中で最も大切でその人の印象を決めるのが、顔の表情であることは間違いないだろう。だから向上心のある営業やSEは鏡の前で笑顔の練習もする。大切なことだ。

しかし人は一度のミーティングをしただけでは相手の人をおぼえたりはしない。二度目でそういえば見たことのある顔だと思い、三度目でああこの人だとなって記憶が定着する。その頃にその人に対する印象も確定化する。そのフェーズにおいて、名刺の写真は強い味方になってくれるはずなのだ。

まず初対面のミーティングでは、受け取った名刺は机上に並べておくのが礼儀だ。だから自分が初対面で飛び切り緊張していても、相手の方は名刺の写真も見てくれる。こちらが飛び切りすてきな笑顔で写っていれば、自然に好意をもってくれるだろう。

そして商談が終わったあと自分のデスクで名刺の整理をする。整理をしなくても最初にメールを出すときくらいは見直してくれるだろう。そのときにおそらく、わざわざ実際の顔を思い出すようなことはせず、名刺の写真を見て『印象のいい人だったな』と思ってくれる。

もちろん写真任せでは駄目で、二度目に合うときにその印象を裏切らないように心がけなければいけない。だけどその時点で既に相手の頭の中には『いい人だ』という仮説が出来ているので、だいぶやりやすくなっているだろう。

多くの企業は、営業職であっても名刺に顔写真を載せてはいない。嫌がる人もいる。せっかく載せていても、ぶっきらぼうな顔をしている人もいる。これまですてきな笑顔の名刺をもらったことは10回くらいしかない気がする。企業側からすると大量に消耗するだけの名刺にコストをかけたくはないのだろう。フルカラーの写真を使うとたぶん印刷費が数倍に跳ね上がる。だけど僕はその効果は大きいと思うのだ。

名刺屋に依頼する予算がないのであれば、自社でプリクラのようにシール印刷すればいい。写真はお金をかけてでもいいものを撮るべきだ。プライベートで撮った最高の写真を活用してもいい。

デジタル化だのIT化だので仕事が無味乾燥になりがちなこの時代、人を相手にする仕事ではどれだけアナログでウェットな工夫が出来るかが差別化のポイントになると思う。それこそが、コピー&ペーストで水増しの出来ない本当の価値なのだ。