映画の最近のブログ記事

★★ フライトプラン

こういう見る前から駄目と分かっている映画は自分で借りたりはしない。テレビでやっていたので見てしまったのだが、時間の無駄だった。

映画の演出とはいえ、気が狂ったような女を直視するのは辛いものだ。飛行機の中で行方不明になった子供を探すために大騒ぎをし、挙句に立ち入り制限区域に忍び込む。専門知識を使って機器を誤動作させて酸素マスクを出し、機内を停電させ、緊急着陸に追いやる。いかに子供のためとはいえ許される行為では決してない。ヒロインをこんな狂人然として描いてしまうハリウッドはやはりどうかしている。もちろん最終的には彼女の言っていることが正しいのだが、こんな神経に触る描きかたはないだろう。

ストーリーにも必然性がまるでない。話を盛り上げるための不自然でご都合主義なシナリオは見ていて頭痛がする。過去最低タイの★★だが、これ以下というのはちょっと想像できないな。時間を無駄にした腹いせに、ツッコミどころを列記してみよう。

  • 保安官なら国際線に拳銃を持ち込めるのか?
  • 死体を飛行機に載せさせるために殺人を犯す?
  • 飛行機の中でその被害者の妻の子供を隠して騒ぎを起こさせ、ハイジャック犯に仕立てあげる??

  • 客室乗務員に共犯者がいれば子供の搭乗記録を消せるのか?
  • いかに架空の巨大旅客機とはいえ天井裏やマシン室(?)が大きすぎないか?
  • 主人公の主張どおり子供が発見されたというだけで無罪が証明されるのは簡単過ぎないか?
  • 貨物室らしき場所にかくされていた子供がなぜ無事なのか?与圧とエアコンが入ってるのか?

くだらなさを笑うのがハリウッド大作の正しい観かたなのかもしれないが、それにしては本作は笑わせてくれるわけでもなく、退屈としか言いようがない。感想を書く責任で最後まで我慢してみたが、はじめから見なければよかった。

若くてさえない落語家の今昔亭三つ葉(国分太一)。落語が大好きなのだがなかなか思うように話せずに行き詰まっている。そこへ、密かに想いを寄せていた祖母の生徒から、小学生の甥の村林優(森永悠希)が関西弁のせいでいじめられているので落語を教えてくれないかと頼まれる。その奇妙な落語教室に、人とうまく話せないクリーニング屋のむすめ十河五月(香里奈)、野球解説の仕事から干されている元阪神タイガースの選手湯河原太一(松重豊)も加わって...。

この作品はなによりも題名がいい。題名だけで勝手に世界を膨らませていけるだけの力がある。脚本もシンプルだがわかりやすい。物語がシンプルなだけに配役が重要になるが、これ以上ないというくらいにはまっている。基本的に初々しく一所懸命なイメージだが、へこんだ顔も似合う国分太一、ぶっきらぼうが板に付いた超美人の香里奈、一見ダメそうだがある面で意外と力強い、というややこしい約にぴったりの松重豊、子役として驚くべき演技を見せた森永悠希。国分以外はいわゆる人気俳優でないが、見事なキャスティングというほかない。

この映画を引き締めているのが終盤で国分太一が見せた落語の一席。よほど稽古をしたのかかなり上手に面白い噺を披露し、リアリティを高めている。

ただすこし残念だったのがストーリーの弱さ。これは三つ葉をはじめとする4人の再生の物語だとおもうのだが、三つ葉は酒の勢いを借りながらも素晴らしい噺を披露し、優も同級生の前で一席演じて面目躍如となったが、のこり二人の再生が弱い気がする。湯河原は二軍の監督に就任するという説明でたしかに再生しているはずなのだがアピールが弱い。五月に至っては、三つ葉と恋仲におちて笑顔をみせるというだけでは何ともまあ、再生と呼ぶのははばかられるなぁ。

9.11直後、イギリス国籍のアラブ人4人が結婚式に出るためにパキスタンへ里帰りをする途中、ふとした興味でアフガニスタンの様子をみようと国境を越える。しかし滞在中にアメリカを中心とした多国籍軍の空爆が始まり、不安のなか足止めを食わされてしまう。町の有力者に頼み込んで出国のための車を手配してもらうが、何の間違いかタリバンのキャンプに送り込まれてしまう。やがてこの町にも攻撃が始まり、阿鼻叫喚の地獄なか3人は生き延びたものの、北部同盟の捕虜となり虐待を受ける。更に英語を話せることからスパイの疑いをかけられ、キューバのアメリカ軍グアンタナモ基地に移送されて長く恐ろしい日々を過ごす。

アメリカの対テロ戦争の愚かさはいろいろなメディアで描かれているが、事実に基づくこの映画は彼らの経験したあまりもの苦痛に息がつまる。あのような苦痛を強いられ、彼らはなぜ耐えられたのか、自分ならばはたして耐えられるのか。そしてその現実を受け入れられるか。

彼らはなぜあの様な目にあわなければならなかったのか。無実を証明できた彼らは開放されたが、それ以外の人たちはどうなったのか。あれほどの辱めを受けて、アメリカへの敵対心を抱かずにおれるものはいるのか。そしてなぜ、アメリカはあの様なことを続けるのか。

世の中のくだらない映画をハリウッドが一手に引き受けてくれる分、それ以外の世界で発信される映画は観るべきものが多い。(もちろん韓国映画は除く。)世の中で起きていることを知りたいと思う気持ちが少しでもある人は、観ても損はない映画だ。

母が死んだその日、父は葬式にも出ないまま突然いなくなった。残された少女は親戚に助けられながら父の帰りを待つが、そのまま数ヶ月が過ぎてしまう。やがて近所の人が、アルゼンチンババアと呼ばれる老婆が住む草原の中の奇妙な洋館で父親を見つけるが、父は帰る素振りもみせず...。

名優役所広司が意外なほど駄目な男をしっかりと演じる。老作りした鈴木京香のアルゼンチンババアは年齢がよく分からないが、その不思議な雰囲気が立ち上る。なかなかの演技派が揃い、期待感いっぱいで物語が始まるが、どうにも物語が現実離れをしてくる。もしかして駄作なんじゃないかと不安になってくるが、出演者のコミカルと紙一重の演技がなかなかおもしろく、飽きずに観ていられる。そして最後は、思いがけないほどのしっかりした結末で、ホロリとさせられてしまった。

地に足がついた作品ではないが、大人の童話としてはいいかもしれない。


野球部で万年補欠でいまも失業中のタカシ(大森南朋)。同窓会で酔った勢いで好きだった女の子に告白するために東京へ送り出され、公園で目覚めると目の前にキャッチボールをしている大人がいた。ことの成り行きで10分間100円のキャッチボール屋の留守番をすることになったタカシだが、意外と得意客などもいるようで...。

リアリティがあるのかないのかわからないとぼけた映画だが、大森南朋がぴったりはまっている。かわいいけれどちっともその気がないOL(キタキマユ)、甲子園のマウンドに悔いを残してきた野球中年(寺島進)など、魅力的ながらも浮世離れした登場人物たちが、楽しくもささやかな時を過ごす。しかし終わり方は中途半端というか、だから何というか、まあ平凡なエンディングで、まあそういう映画なんだなという後味が残る。

★★★☆ 幻の光


ゆみ子(江角マキ子)の祖母は子供の頃に失踪した。ゆみ子は祖母を引き止められなかったことを心の傷として生きていた。十数年後、ゆみ子は夫と生まれたばかりの息子と幸せに暮らしていたが、夫は線路の上をひとり歩いていて死んでしまう。なぜ夫が死んだのか、ゆみ子には判らない。やがてゆみ子は知人の紹介で遠く輪島の漁村へ再婚して行き、厳しい自然の中で落ち着いた生活を送るようになる。しかしやがて、ゆみ子は再び夫がなぜ死んでしまったのかを思うようになる。

人間を描いて定評のある是枝裕和監督のデビュー作だが、まずその映像技術に舌を巻く。完璧な構図、奇跡のように美しいロングショット、超望遠を使った臨場感。日本海の冬の濃密な描写。そこに同じく初主演の江角の、全存在を賭けたかのような見事な演技。映画作りの教科書にしたいような作品である。

ストーリー展開は淡々としていて説明も少ないし、ぐいぐい引き込まれて時間を忘れるというような映画ではない。観るほうが試されるような映画である。

★★★  立喰師列伝


終戦後、闇市の立ち並ぶ街角で立喰師と恐れられる男たちがいた。彼らは独特の技術と戦術をもち、代金を払わずに立ち食い蕎麦屋を渡り歩くプロなのだ。

スチル写真をやりたい放題でCG処理し、動く絵本のようなアニメーションとドキュメンタリ調のナレーションで描く本作は、なかなかにマニアックな出来上がりである。しかし攻殻機動隊、イノセンスでみせた内容の無さは相変わらず。伝えるべきものをもたない表現力のむなしさといってしまったら言い過ぎか。

前半はそれでもしっかりと世界を作りこんでいて楽しいが、年代が現在に近づいて来た後半は似たような立喰師が現れたり、技も技になってなかったりで飽きてしまう。多分監督も飽きてきたんだろうなと思う。90分の短編映画だが、あと30分は短くてもよかった。

★★★★ 初恋


学生運動の高まる1960年台末。母親に捨てられ親戚の家で疎外感と共に暮らすみすず(宮崎あおい)は、母と共に去った兄が渡してくれたメモを手がかりにジャズ喫茶へ足を踏み入れる。そこには社会からあぶれた若者達が日々集まっていた。

三億円事件の実行犯が高校生の少女だったという物語で、もちろんフィクションとされているが、原作者が主人公と同じペンネームを使っていること、他に作品を発表していないことなどから実話なのではないか、そうだったら面白いという興味も手伝い話題性が高い。しかしこの映画の主題はそこではなく、まさに『初恋』そのものだった。

東大生の岸(小出恵介)に、社会と戦う為にはお前が必要なんだと言われ、はじめて居場所をみつけるみすず。それが三億円強奪の計画だとしても必死になって準備に励む姿は、本作で唯一生き生きと見えて切ない。あれほどの笑顔が素敵な宮崎あおいにほとんどにこりともさせない演出は徹底したものがある。本作では台詞がほとんどないが、そのぶん目だけで力のこもった演技をして見せてくれる。

ストーリーの展開はゆっくりで、他の役者の演技も押さえ気味。当時の時代の空気をしっかり描いてはいるが観ていてそれほど楽しいものでもなく、退屈に思う人もいると思う。しかしみすずへの感情移入ができた人は高い評価をつけられると思う。物語の終わり方があまりにも悲しくて、打ちのめされてしまった。

元ちとせの主題歌は、もうすこし普通に歌ってほしい。歌詞もメロディーもまずまずだし声も独特できれいなのだが、あの歌い方は引いてしまうものがある。

現代の天才レントゲン医師・芳一(オダギリジョー)のもとに、サンショウウオのキンジローを撮影してほしいという依頼が来る。キンジローは1867年のパリ万博に出展されたという『動物国宝』であり、管理しているサラマンドル・キンジロー財団は国から多額の補助金を得ているが、対立する団体からその真正性を疑っているのである。キンジロー捕獲の為に芳一は財団の建物に侵入したが、キンジローは一足先に誰かに連れ去られていた。

はじめからおバカな映画であることは承知で、見る前は期待感が結構高く、見ている間はこんなもんかと思い、後で思い出すともしかして面白かったかも?と首をかしげるような映画である。ストーリーはめちゃくちゃで、特に後半は死んだ人が生き返ったり、行動の理由がわからなかったり、オチもまったくもって意味不明なのだが、オダギリジョーの魅力が満載であるということは間違いない。

★★★  オーシャンズ12


前作でカジノから大金を盗み出したダニエル・オーシャンと仲間達の処にカジノのオーナーから連絡が来た。二週間以内に盗んだ金を返さないと報復をするという。しかし金はほとんど使ってしまっており、ダニエルたちはその埋め合わせのために次の仕事を計画する。

前作を見ていないので比較ができないが、本作はしょっぱなからハリウッド映画臭さが鼻につく。いわれて返すくらいなら盗まなければいいし、そのために次の盗みをするなんて馬鹿馬鹿しい。スターをたくさん出演させて豪華絢爛という映画制作上の都合が透けて見えるが、はたして一人一人を丁寧に描ききれず、結局ジョージクルーニーとブラッドピットとその他大勢というかんじにまとまりがない。また物語の中でジュリアロバーツに偽ジュリアロバーツを演じさせるなど、手前味噌が過ぎる。まさにハリウッドによるハリウッドのための映画といえよう。